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Webサイトのビジネスコンテクストを分解する「競合分析の極意」とは

こんにちは。
ディレクターの小池です。

皆さんは「競合分析」をされていますか?
Web制作やデジタルマーケティングを生業としている方ならば、Webサイトの競合分析を行う機会は多いのではないでしょうか。
かく言う私もいろんな案件で競合分析を行いましたが、毎回こんな事で悩んでいました。

  • 分析ツールを使っているけど、結局どのデータが大事なの?
  • クライアントにどんな分析結果を提供すれば納得してもらえるのかわからない
  • データは集まったけど、「結局何が言いたいのか」を説明できない

一人でも悩みを共有できるディレクターの方がいらっしゃいましたら幸いです。

競合分析の極意は「分解」にあり!

タイトルにも書きましたが、競合分析のコツは対象のWebサイトを「分解」することです。
Webサイトが表示された状態でパソコンごとバラバラにすること・・・ではありません。

ここで言う「分解」とは、Webサイトを構成している「コンセプト」や「ターゲットにアプローチするために取っている戦略」等、Webサイトの持っているビジネス的なコンテクストを一つずつ紐解いていくことです。

データを集めるだけ集めてその後どうしたら良いかわからなくなってしまうのは、サイトの全体像にとらわれてしまっているからです。
「確認したい要素」のレベルまでコンテクストが分解されて初めて、どんなデータを参照すれば良いのか明確になってくるのです。

今回は、皆さんも知っている有名なサイトを1つピックアップして、アジケ流の競合分析を行ってみたいと思います。

その前に・・・

何のために競合分析を行うのかを決めましょう。
これは、ほとんどの場合、クライアントから依頼されるものだと思いますが、今回はブログ記事用のデモンストレーションなので勝手に決めちゃいます。

依頼内容は、「スポーツジムを新しく開店したいが、他社が行っているWebブランディングや集客の工夫を調査する」とします。
分析対象には、下記のサイトを設定します。

出典: ライザップ

どのように分解するか

まずは、分解する「単位」を決めましょう。
コツは、ざっくり知りたいことを決めた後にそれを構成している要素を細かくしていく方法です。
私がサイトを見る時に気にしていることは下記です。

知りたいこと① どんなブランディングをしているか

1.サイトがユーザーに与えているイメージ
2.サイトがユーザーに訴えているメッセージ
3.サイトのコンテンツプライオリティがどのような構造になっているか
4.サイトがユーザーに与えたい体験

知りたいこと② どんな集客戦略を行っているか

1.広告の出稿先
2.オーガニック流入
3.リファラル流入
4.ダイレクト流入

と、このように「大きな知りたいこと」に対して、それを構成している要素を抽出していくことがビジネスコンテクストの分解です。

あとは、決められたフォーマットに見たものを代入していくだけです。

では、やってみましょう。

知りたいこと① どんなブランディングをしているか

1.サイトがユーザーに与えているイメージ

これは、デザインコンセプトを立てるのとは逆のアプローチです。サイトが持っている情緒的役割をキーワード化し、事業者がユーザーに与えたい印象を拾っていきましょう。

  • 力強さ
  • 理想
  • 絶対的

トンマナも黒と金をメインカラーにしており、「力強さ」「理想」といった部分を強調していますね。

親しみやすさを出すアプローチではなく、ユーザーの「こうなりたいという気持ち」をくすぐる訴求方法をとっていることがわかります。

2.サイトがユーザーに訴えているメッセージ

Webサイトを絵としてではなく、文章構造として捉えてみるのがコツです。
絵が訴えている事は1ですでにキーワード化しているので、ここでも「分解」を意識しましょう。

  • 成果
  • 達成
  • 科学的根拠
  • 安心
  • 健康

ここからも、「結果にコミットする」という抽象度の高いコンセプトから「分解」して、キーワードの抽出をしている事がわかります。

3.サイトのコンテンツプライオリティはどのようになっているか

情報設計の原則ですが、重要度の高い情報は

1.上下で言えば「上」
2.左右で言えば「左」
3.大小で言えば「大」

となります。

つまりファーストビューから順番に構成要素や導線の配置を見ていくことによって、ブランドが伝えようとしていることを端的に読み取られるのです。

  • 成果(Before/After)を直感的に理解しやすい画像訴求
  • 科学的根拠やプロフェッショナルによるプログラム
  • 体験者の声
  • どれぐらい支持されているか(実績)
  • 店舗情報

下層のページを含めてざっくり情報の重要度順に並べるとこのような形になります。(あんまり厳密じゃなくても大丈夫です)
通常の販促サイトでは、体験者の声は実績の下あたりに配置するのが一般的ですが、ライザップの場合は大きくプライオリティを上げているのが特徴です。
効果に対する自信と、それを大胆に訴求に使う戦略的意図が読み取れます。

4.サイトがユーザーに与えたい体験

「体験」の言語化には「価値仮説」というフレームワークを活用します。

ユーザーの課題を解決するのにはどんな「価値」が必要なのかを言語化することによって、スタッフの目線を揃えるのに便利な手法です。
今回は、競合分析なので「Webサイトの価値仮説」がどのようになっているかに着目して埋めてみました。

ターゲット
ダイエットをしたい人
は、
欲求
理想の体型を手に入れたい
が、
課題
自己流のダイエットではなかなか効果が上がらず、続けるモチベーションを維持できない
ので、
サイトの特徴
トレーナーのサポートで理想の体型が「確実に」「短時間で」手に入る事が分かるコンテンツ
に価値がある

このようにキーワードを分解することで、競合サイトがデザイン制作フローにおいてどのようなプロセスを踏んできたかを逆算して考えることが出来ます。ライザップのサイトはユーザーの課題に対して適切なコンテンツ設計とビジュアル訴求を行っていることが分かりますね。

知りたいこと② どんな集客戦略をとっているか

ライザップのサイトをシミラーウェブで見てみました。

トラフィック

 

リファラル

 

検索

集客について調べる時はここから特徴的なデータを抽出し、その特徴を裏付けている理由について考えていきます。

特徴的なデータ

  • ダイレクト流入が38%近くもある(メディアサイトではないのに)
  • リファラルはオウンドメディアからの流入が3/1を占める
  • オーガニック流入のほとんどが「ライザップ」関連の指名検索である(筋トレ、ジム等のビッグワード流入がほぼ無い)
  • 有料広告も「ライザップ」の関連キーワードで出している

これは、大きな数字を見てその特徴を追っていけばオッケーです。
データはこのサイトへの人の集まり方が数字になったものなので、大きい数字を見て「なんか気になるな。なんでだろ?」と思ったことを言語化してみることでそれに対する「解」を考えることが出来ます。「解を考えて言語化してみる作業」がすなわち仮説となります。
競合分析はこの仮説を立てる所までがゴールとなることが多いです。

データが持っている特徴からわかること

ダイレクト流入が38%近くもある(メディアサイトではないのに)

トラフィックがダイレクト流入にカウントされる理由は様々ですが、メディアサイトではないのでブックマーク率はそこまで高く無いでしょう。一般ユーザーはURLの直打ちはあまりしませんし、RSSやメルマガではここまで数字を稼ぐことは出来ません。
また、ライザップは関連アプリを多くリリースしているので、消去法と他データの参照から「アプリ経由でのトラフィック」と仮説を立てることができます。

リファラルはオウンドメディアからの流入が1/3を占める

これは文字通りですが、オウンドメディアからの送客が上手くいっているのが理由です。
もっと掘り下げると、「今すぐ客」をマスメディア+指名検索のあわせ技で獲得し、「そのうち客」をオウンドメディアで顕在化させる戦略を取っていると予想できます。

オーガニック流入のほとんどが「ライザップ」関連の指名検索である

マスメディアを利用した広告でサービス名の浸透率がかなり高いことがわかります。
「トレーニング」「ダイエット」「プライベートジム」等のビッグワードを狙わなくても、ネームバリューでどんどん流入するようになっていますね。
ハッキリ言ってこの状態になると、集客モデルとしてはまるで参考になりません。
あなたがプライベートジムの集客担当者だとしたら、別のアプローチ&ブランディングで直接対決しない方策を考えた方が無難といえるでしょう。

有料広告も「ライザップ」の関連キーワードで出している

ここでの結論は前項で述べた内容とほぼ同じですが、有料広告まで指名キーワードが上位になっているのはスゴイですね。

まとめ

長くお付き合い頂きありがとうございました。
ブランディングについても集客についても、まず大きな所に着目し、徐々に細かい要素にフォーカスしていくという思考法を行っている事をお分かり頂けましたでしょうか。繰り返しますが、競合分析の極意は「分解」です。

分解する対象によって見るものがクリエイティブなのかデータなのかに差がでますが、気をつけていればきっと競合サイトの「特徴」を言語化し、その理由や戦略を読み取る事ができるでしょう。

しかし、「どうしても難しい」「競合に勝つにはどうしたら良いのかのアイデアまで出したい」等、まだまだ競合分析についてお悩みが絶えない方は是非、アジケまでご相談下さい。

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