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【UX dub vol.3イベントレポート】インプロワークショップを開催しました

2018年3月20日に、UX dub vol.3を開催しました。3回目の開催となる今回は、「組織のクリエイティビティを上げるには:インプロ体験を通して見えてくること」をテーマにしたインプロワークショップ。

「インプロ」とは「インプロヴィゼーション(improvision、以下インプロ)」の略で、「即興劇」を意味します。ピクサー社やスターバックス社、マイクロソフト社など、クリエイティビティを組織の重要な資源と考える多くの企業で活発に取り組まれています。「即興劇」と聞いて思わず二の足を踏んでしまいそうですが、実際に体験してみると深い充実感を得ることができました。本日は、イベントの様子をレポートします。

UX dubとは

UX dubは、UXデザインに縁のある方々が、会社の垣根を越えて集まる知識と人脈の交流の場です。日々の業務の中で行うサービスデザインや、事業の成長に役立てていただくことを目的としたイベントです。また、 参加者とUXデザインの本質を考えられる場所となることを目指しています。

過去には、UI/UX界隈のクリエイターの方々をゲストにライトニングトークや、アイディア発想ワークショップを行いました。過去のイベントの様子は以下をご覧ください。

【UX dub Vol.1 イベントレポート】UX/UIデザインの現場、最前線
【UX dub #2 イベントレポート】UXデザインの手法を用いたアイディア発想ワークショップ

インプロとは

みなさん、「インプロ」をご存知でしょうか。その名の通り台本が無く、演者によって即興的に演じられるものです。インプロは、劇の完成度ではなく、その場で全身を使って演じる「瞬発力」や「柔軟性」を重視するものです。

今回は、アイディア発想力と組織のクリエイティビティの向上という2つの効果に注目してワークショップを行いました。

イベントレポート

これよりイベント当日の様子をレポートします。

ワークショップについて

今回のゲストは、珍しい異業種のお二方。
ゲストに専修大学ネットワーク情報学部教授の上平崇仁先生と、


上平先生作成「UX dub vol3.full2」より

インプロファシリテーターとして、お笑いコンビ「オシエルズ」、日本即興コメディ協会副代表の野村真之介さんをお招きしました。


上平先生作成「UX dub vol3.full2」より

異業種のお二方によるデュアルファシリテーションで、ゆるやかにワークショップは始まりました。
まずは、イントロダクションで簡単にインプロを説明。上平先生の解説によると、インプロには様々な意味がありますが、今回体験したインプロでは「協働による発想法」「組織風土の形成」の2つの意味があります。前知識をインプットしてのインプロはまさに「即興性」がなくなってしまうということで、解説はほどほどにまずはインプロを体験してみることに。

野村さんのファシリテーションにより、実際にインプロワークショップが始まりました。ワークショップの形式は、野村さんから出されたお題を、複数人のグループで実践していくものです。野村さんのファシリテーション自体も即興で、インプロには膨大な種類の手法があり、その場の状況を汲み取ってお題を出されるそうです。

「共通点探しゲーム」

ここでは、実際に体験した一部をご紹介します。
最初のアイスブレイクでは、「共通点探しゲーム」。周りの人とペアになり、お互いの共通点を3つ以上探します。

「バースデーライン」


続いて、参加者全員で円になり誕生日順に並ぶ「バースデーライン」。このワークを通じて、おおよそ参加者全員と触れ合うこととなりました。

「ワンワードゲーム」


5,6名のグループになり、1人一言づつ文節を言い、物語をつくっていく「ワンワードゲーム」。最初の発言者は「むかしむかし・・」と発し、それに続いて1人づつ「あるところに」といった文節を言います。

昔話の「桃太郎」の例でいうと

むかしむかし→あるところに→おばあさんと→おじいさんが・・

等と続いていきます。

「ワンワードゲーム」は、「桃太郎」のように既存の物語ではなく、グループで即興で物語をつくっていきます。ただし、このゲームは「考えて発言する」のではなく、「頭に思い浮かんだもの」を口に出すこと。そうすると、担当を振られた自分が苦しくなったり「わからない」、「終わりだな」と感じることがあります。「わからない」と感じた場合は、「もう1回」、「終わりだな」と感じたら「終わり」と言うことでその物語は終了し、また「むかしむかし・・」から新たな物語が始まります。

ポイントは、次の2点。

  • たくさん「もう1回」を言うこと。
  • 短くてくだらない話をたくさんつくること。

体験してみるとわかるものですが、なかなか「頭に思い浮かんだもの」をそのまま発することは難しいものです。

その理由は、頭の中に「検閲」があるからだとか。言ってはいけない3つの言葉にはブレーキをかけてしまうようです。
その3つの言葉とは、以下の3つ。

  • 頭がおかしいと思われること
  • 下ネタ
  • 普通なこと

特に「普通なこと」については、会場では納得の声があがっていました。というのも、「普通のこと」を言うことによって、「アイディアのない人と思われるんじゃないか」といった不安が頭を過ぎってしまい、普通のことこそ言いづらくなってしまうと。「頭がおかしいと思われること」、「下ネタ」については会議のようなオフィシャルな場では無論、言いにくいことです。「普通なこと」はアイディアを求められるような場面では、思わず躊躇してしまうのではないでしょうか。

参加者の方々のご感想

この他にも多数のワークを体験しました。
おかげさまで参加者の方々の満足度は非常に高いものでした。ご感想のほんの一部をご紹介します。

・「見事に”うまく言葉にできない・・・「何か」”が残りました!」
・「脳がリフレッシュできました。 正直、最初はとんでもない所に来てしまったと思いましたが、徐々にほぐれてリラックスしていくのを感じました。」
・「自分の行動、言動の苦手な部分をかみしめられました(なれない国に行った感)。でも、次へのつながりを感じるよい時間でした。」

参加者の方々が徐々にほぐれて変化していく姿を見て取ることができました。

インプロワークショップを体験してわかった2つのこと


インプロを体験してみて、多くの気付きを得られました。今回は2つ、ご紹介します。
インプロの解釈は多種多様にあるかと思いますので、一意見としてご理解ください。

①チームでは、「心理的安全性」の確保が重要であるということ

「心理的安全性」の確保とは、チームにおいて躊躇することなく自分自身の考えや感情を発することができる環境であることを意味します。「心理的安全性」は、Googleがチームを成功へと導く要素として最も重要であると発表したことが話題になりました。

インプロの場では、無責任な発言が許容されているため、自由に発想し発言することができます。今回、様々なワークを積み重ね自由な発言ができる状態をつくっていくことで、互いに失敗を恐れずに発言できることを体感しました。

②他者とのコミュニケーションの中で生まれるアイディアがあるということ

チームでの発言は、発言者の考えを表明するためにあると考えられがちですが、一個人の発言が他者の発想を促進するという機能もあります。先程、発言する際に頭の中でブレーキをかけてしまう言葉についてふれました。自分にとっては「普通なこと」や「些細なこと」であっても、その発言が他者を刺激し、思いもよらないアイディアや発見につながる可能性を持っているのです。

「ワンワードゲーム」といったワークは、他者とのコミュニケーションを重ねることによって生み出されていくことを実感しました。また、他者と身体を用いて即興でコミュニケーションをすることは、普段の順序立てた発想とは異なり、予想できない「不確実なもの」に出会えるものでした。

実際に社員教育プログラムの一部としてインプロを取り入れているPixar社では、取り入れいる理由として次の2点をあげています。

①「協働的創造性を高める」
②「創造性に対する新たな視角を得る」

高尾隆(2006)

おわりに

今回、インプロワークショップを実施してみてインプロは、まさに「やってみたらわかるもの」だと実感しました。即興的に身体を動かすからこそ生まれる「不確実性」と時に向き合うことは、わたしたちに非日常性をもたらし新たな発見を得られることがわかりました。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございます。
参加者のみなさまにとって、少しでも新たな発見がありましたら嬉しいです。

今回、「インプロをまた体験したい」といった声を多数いただきました。また改めてインプロワークショップを開催してみたいですね。
今後も、UX dubはみなさまと知見を共有できるイベントを目指していきます。

イベントの開催情報は、以下のサイトで随時、発信しています。
是非、フォローをお願いします。

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■野村真之介さんHP:FUNBEST
■上平崇仁先生のブログ:Kamihira_log at 10636
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出典
高尾隆(2006)「これが、企業のクリエイティヴ・アクション」(p.56~60)『日常を変える!クリエイティヴ・アクション』

株式会社アジケは2018年4月1日より株式会社 USEN Mediaと業務提携を開始しました。
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